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【便秘外来☆連載企画 2009】

脱!下剤依存症、効果的な薬剤併用

「便秘なら下剤で治せばいいじゃない。いちいち食事に気を遣う必要はないのでは?」と思っている人も多いと思います。

実はこの考え方がたいへん危険であり、便秘患者を増やす元凶となっています。下剤は腸を動かしたり、便をやわらかくしたりして便を無理やり排泄させる薬剤で、便秘体質を根本から治す薬ではありません。

困ったときに一時的に下剤を使うのはかまいませんが、毎日のように使っていると腸の働きが逆に弱ってしまい、下剤をストップしたときに自力で排泄できなくなります。これか便秘の進行形ともいえる「下剤依存症」です。

 

この便秘を招いてしまう問題の下剤は「アントラキノン系下剤」といわれるものです。生薬のアロエやセンナ、ダイオウなどが主なもので、市販の下剤の多くがこのタイプです。

5年、10年とこのタイプの下剤を飲み続けていると大腸の粘膜が黒ずみ、腸の働きが悪化する「大腸メラノーシス(大腸黒皮症)」を起こしやすくなります、これも便秘が重症化する大きな原因です。

連載の冒頭でもお話しましたが、大腸内検鏡検査を行っていると、かなりの率でこの大腸メラノーシスが見つかります。

 

軽度の下剤依存症の人は、食事療法だけでよくなる可能性があります。

しかし、便秘薬を常用量以上に服用していたり、連日1年以上服用していたり、複数の便秘薬を服用しているなど、中等・重度の下剤依存症の場合、食事療法に効果的な薬をうまく組み合わせ、1〜2年かけてじっくり治療に取り組みます。
最初は手放せなかった便秘薬が次第に減り、自然なお通じが戻ってくるように治療を進めるのです。

 

食事療法に組み合わせる効果的な薬剤として、「酸化マグネシウム」や「新レシカルボン坐薬」「防風通聖散(漢方薬)」などがあげられます。
防風通聖散は漢方薬の一種です。滑石(カッセキ)をはじめ、黄ごん(オウゴン)、甘草(カンゾウ)、桔梗(キキョウ)、石膏(セッコウ)、白朮(ビャクジュツ)など18もの生薬が含有されています。

 

便秘に対して有効な漢方製剤は何種類もあります。「防風通聖散(漢方薬)」には、アントラキノン系の生薬が入っていますが、その量が極端に少ないので、安心して使うことができます。しかもかなりの効果が得られます。

※ 図をクリックすると拡大表示します。

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