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【便秘外来☆連載企画 2009】

逆流性食道炎と便秘の関係

食後の胸やけやゲップ、喉に胃酸が戻ってくる感じがする…。これらは逆流性食道炎の症状です。

胃液は強い酸性のため、これと混ざり合わさった食べ物や胃液などが食道に逆流すると、食道の粘膜を刺激し、胸やけが起こるのです。慢性的になるとけっこう辛い症状です。

逆流性食道炎の主な原因として「食道と胃のつなぎめにあたる部分の筋力の低下」があげられます。この部分の筋肉には逆流を防ぐ役割があり、加齢などによってゆるむと胃の内容物が簡単に食道に戻ってしまうのです。そのため、これまでは高齢者に起こりやすい症状とされてきました。

ところが最近、若い患者さんが増える傾向があります。

 

逆流性食道炎の原因の1つとして、腹圧(おなかのはり)もあげられます。腹部に膨満感がある時、胃は腸からの圧迫を受け、食道への逆流が起こりやすい状況になっています。

常習性便秘症のかたを調べたところ、約10%のかたに逆流性食道炎がみられたのです。

若い患者さんが増えた原因は、食事と便秘による腹圧の上昇の問題なのです。

脂肪の多い食事をすると食道の下部の筋肉が緊張し、胃酸が増えます。これは脂肪がほかの栄養素に比べ、消化に負担がかかるためです。

 

脂肪の中でも肉や乳製品などの動物性脂肪は胃に滞留する時間が長く、逆流を起こしやすくします。そこで私は患者さんに、治療に加え、オリーブオイルを中心として地中海型食生活をアドバイスしています。オリーブオイルは油でありながら胃にやさしく、負担をかけません。おいしく、食べた後に満足感を得られるうえ、逆流の症状を起こしにくいのです。

食道炎は治さないままでいるとやがて正常に働かなくなります。こうした症状を「アカラシア」といい、このうちの5%が食道がんに移行するといわれています。

思い当たる症状がある方はぜひ、早めのケアをしていただきたいものです。

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