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【便秘外来☆コラム 2011/04】

「痛くない大腸内視鏡検査」の手順

大腸内視鏡を受ける場合の実際のプロセスについて、当院の方法を例にご説明します。

  1. 検査の予約をする
    大腸内視鏡検査は、基本的に予約制です。
  2. 検査の前日
    検査の前日の食事は、夜9時までにすませ、それ以降は禁止となります。水やお茶は飲んでもかまいません。食事は、うどんや魚など消化のよいものとし、消化のよくない海藻類や野菜、特にきのこ類や山菜類、こんにゃくなどは避けてもらいます。
  3. 就寝前に下剤を飲む
    就寝前に、前処置として下剤の一種であるピコスルファートナトリウム(水溶液の下剤)を服用します。便意を感じたらトイレに行くようにします。前日に下剤を服用することで、当日の下剤の服用量を少量ですませることができます。
  4. 検査当日の朝
    当日の朝は、食事はとらずに来ていただきます。水、お茶は少量ならとってもかまいません。
  5. 腸内洗浄用の下剤を飲む
    腸内洗浄のために下剤を水に加えた液体を飲み、排便をしてもらいます。前日、下剤を飲む方法では当日は1.5リットル、当日のみ下剤を飲む方法では2リットルの液体を飲んでいただくことになります。
    なお、現在、錠剤タイプの下剤(リン酸二水素ナトリウムと無水リン酸水素二ナトリウムの合剤)約40〜50錠を、数回に分けて服用する方法も行われています。この方法なら水分の摂取は、お茶などで1.5〜2リットル摂取することになります。
  6. 便をすべて出し切る
    便をすべて出し切るまで排便してもらいます。固形便が消えて、淡黄色の透明な排液となったら完了です。私のクリニックでは、この後、肛門から入れたゴムの管を通して、腸に0.5〜1リットルの微温湯(約39〜40℃)を注入し、トイレで排泄ということを2〜3回繰り返します、これによって、腸の中は格段にきれいになります。
    こうして大腸内を入念に洗浄することで、腸内の老廃物が限りなくゼロに近づき、腸内が観察しやすくなります。せっかく勇気を出して内視鏡検査を受けていただいたからには、どんな小さな病変も見逃さないようにする準備が必要であり、そのための洗浄です(洗浄が不十分だと見落としの危険もあります)。
  7. 検査着に着替える
    肛門の部分に穴のあいた検査用の紙パンツ等をはきます。
  8. 検査用ストレッチャーに横になる
    左側が下になるように、横向きの姿勢で寝ます。
  9. 鎮痛剤、鎮静剤を注射する
    患者さんの不安と苦痛をやわらげるために、鎮痛剤、鎮静剤を注射します。
    なお、鎮痛剤、鎮静剤の投与では、まれに呼吸数の低下という副作用が出ることがあります。このため、呼吸の状態を観察する方法として、パルスオキシメータを装着します。
  10. 大腸内視鏡の挿入・観察
    患者さんの意識が低下したところで、肛門から内視鏡を挿入し、約10〜15分程度で終了します。
  11. ガスの排出
    大腸内視鏡を挿入する際、腸の中がよく見えるように空気を入れて大腸をふくらませます。このままですとお腹がはった状態になり、不快感を持つ患者さんもいますので、内視鏡が終わった直後と約1時間後に、肛門からゴムの管を入れてたまったガスを排出します。こうすることで、来院時と同じようにお腹がすっきりした状態で帰ることができます(これは私のクリニックのみで施行しています)。

いかがでしたでしょうか?大腸内視鏡は現在、大腸がんを早期発見するための唯一、かつ最も確率の高い方法でもあります。具体的には1センチ以下の小さながんがみつけられるようになり、さらにこうした早期のものに限っては内視鏡を使って切除ができるようになったのです。

便通異常のある人はもちろん、大腸がんのリスクが高くなる40歳以上の方などにぜひ、一度は受けていただきたい検査です。

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